コンテンツへスキップ

カート

カートが空です

記事: 「おはなし夜市」の作品に込める想い — 田丸雅智

「おはなし夜市」の作品に込める想い — 田丸雅智

「おはなし夜市」の作品に込める想い — 田丸雅智

このおはなし夜市で、ぼくは作品全体の監修と、いち作者としての執筆という2つの役割を担わせてもらっているのですが、自作に限らずすべての作品に共通して込めているものがあります。

それは、おはなし夜市の作品が絵本と本のあいだをつなぐ架け橋のようなものになれたら、という想いです。

ぼくは今でこそ、プロの小説家として活動をしています。なのですが、じつは小学生の頃は読書が大の苦手でした。一応、もっと幼いときには、母や祖母による絵本の読み聞かせや、寝る前の枕元でのお話、日本昔話などの朗読テープのおかげで物語がとても好きだったのですが、そこから本への移行がうまくできませんでした。

背景には、せっかちな性格ゆえに長い文章を読む忍耐力がなかったことに加え、絵本や昔話のように純粋にワクワクドキドキさせてくれるような本とあまり出会えなかったことも大きくあったのではないかと思っています。実際、ぼくはその後、小学校の高学年のときにたまたま「ショートショート」というものと出会い、短くてこんなにワクワクドキドキするお話があるのかと衝撃を受けて読書に目覚め、やがてはプロの小説家となるまでに至りました。

その点、活字離れが叫ばれて久しい昨今、ぼくはこのショートショートならば、読書好きの方はもちろん、かつての自分のように読書が苦手な方々も本の世界にいざなえる可能性があるのではないかと考えています。ショートショートにはもともと大人の童話といった側面があることもあり、お子様たちにもより親しみを感じていただきやすいと思っています。その手ごたえは、ぼくが10年以上おこなっているショートショートの書き方講座のなかでも強く感じてきました。

このおはなし夜市では、そんなショートショートのよさを生かした、絵本と本をつなぐようなお子様向けのお話をたくさん用意していきます。さらに、お話の内容面だけでなく、「かき絵本」では絵を描くということを通じていっそうお話の世界に没入していけるようになっていますので、言葉や本に苦手意識を持っているようなお子様でも自然と活字に親しめるようになっていくはずです。

 

また、おはなし夜市の作品では、取り組んでくださる方がなるべく絵を描きやすいように、各ページ、言葉での描写を小説作品のように手厚めにすることも心がけています。一般的な絵本の場合は、同じページに掲載される絵に場面の描写や説明をたくす部分が多くあるため、言葉はカットされがちです。

その点、おはなし夜市の作品では、あえて言葉をカットせずに残しているところが多くあります。初めは、一般的な絵本よりも文字が多いと感じるかもしれません。ですが、その分、文字から想像を広げやすくなっているはずですので、ぜひ臆せず読んで想像をふくらませていっていただければうれしいです。さらに、たくさんの言葉に触れることで、語彙を獲得していくことにもつなげていっていただければ本望です。

 

ほかにも、おはなし夜市の作品では、なるべく平易な言葉を使うことを意識しながらも、意図的に少し難しい言葉や、読み仮名つきの漢字を使っています。これは、言葉の持つ味わいを少しでも感じていただきたいという想いからです。

たとえば、「輝」という漢字は、目にするだけでなんだかパァッと光り輝いて見えませんか? 「ゆうひ」とひらがなで書くのもまた味わい深いものではありますが、「夕陽」と漢字で書くことで、なんだかオレンジ色の光を感じませんか? もっというと、「夕日」よりも「夕陽」のほうが、強い光を感じませんか?

もちろん感覚は人それぞれではあるのですが、その上で、お子様たちが言葉と感覚・情緒を結びつけていく最初の一歩になれば幸いです。

 

最後に、おはなし夜市の作品の多くは、お子様たちが自分事に感じやすいように日常を舞台にしていますが、基本的には現実世界では起こらない、空想のお話になっています。

中には「こんなのありえない」と思う方もいるかもしれません。ですが、決して「ありえない」で切り捨てず、まずはその空想の世界を楽しんでいただければうれしく思っています。

のみならず、空想のお話に親しむことは、物事を多様な視点から見る力を育むことにもつながります。また、常識や当たり前を疑えるようにもなっていき、現実に応用すればイノベーションを起こしたり、おかしな慣習を改善したりしていく力にもつながります。ちなみに、空想する力はビジネスシーンでも求められており、ぼくが企業向けにおこなっているワークショップは大手企業をはじめ、メガバンクの頭取などの経済界を代表するような方々が受けてくださってもいます。

 

ぼくは「空想で世界を彩る」という目標を掲げて活動をしています。おはなし夜市で空想することを通じて、お子様やご家族の世界が彩り豊かなものになることを願っています。

 

Read more